対面にしかいない

いろいろ考えた末、オンライン授業にはビデオ会議ツールを使わないことにしました。一方、zoomで行なわれる会議やセミナーには頻繁に参加しています。オンライン飲み会にも2度ほど。そして、自分がビデオ会議が苦手であることを実感しました。なぜビデオ会議がいやなのか、その理由もなんとなくわかりました。

ビデオ会議への違和感がどこにあるのか、先日「笑点」を観て、ヒントが得られました。「笑点」は5/17の放送からとうとうリモートになりました。そのとき、出演者のみなさんが、みんな「前」を向いて話していたことに対して、強烈な違和感を覚えました。

いつもなら、出演者どうしが話すとき、かれらは「横」を向いています。それがすべて、「前向き」になっていたのです。それでいて、リモートの画面はいつもの並びにしてあるので、視聴者の目には「横並び」に見える人々が互いに「前向き」で会話するという奇妙なことになりました。

それは他のバラエティ番組も同じはずです。しかし、笑点でそれが際だったのはなぜかはわかりません。

それはともかく、ビデオ会議 (ビデオ飲み会も含め) では、オフラインの会議と違って、自分の画面上では、「自分と自分以外の人全員とが対面する」構図になっています。そして、自分の横には誰もいない。これが、大人数の相互行為としてとても不自然で、疲れる原因なのではないでしょうか。

さらにややこしいのは、自分以外の人、たとえばAさんにとっては、「Aさんと Aさん以外の人全員が対面する」構図になっていることです。つまり、参加者相互で空間配置の認識が一致していない。そのため、AさんとBさんのあいだで対話の応答がなされる時に、AさんもBさんも自分の方を向いて話しているように見える。すべての発話が自分に向けられる。そりゃあ、疲れますよ。

竹ノ下祐二
竹ノ下祐二
理学療法学科 教授

専門分野:人類学・霊長類学、生物多様性保全学、子ども学

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