Teachingの進化モデル (Fogarty et al. 2011)

Fogarty L, Strimling P and Laland KN 2011. The evolution of teaching. Evolution 65(10):2760-2770. http://dx.doi.org/10.1111/j.1558-5646.2011.01370.x

人類において teaching が高度に進化した理由を探るべく、数理モデルを用いて teaching が進化する条件を検討した論文。モデルによると、Teachingが有利になる条件の第一は、学習者にとって、teaching が非社会的学習や自発的な社会的学習よりも効率的な情報収集手段であることだ。非社会的学習や自発的社会学習が容易な場合、このハードルは高くなる。だから、動物における teaching の分布は(直感に反して)知能と関連しない。

一方、何かを非社会的学習や自発的学習によって会得することがきわめて難しい場合も、teachingは有利にならない。なぜなら、その場合は teacher にとって教える(ための前提条件として自分が何かを学習する)コストが高くなるからだ。

つまり、teachingは伝達されるべき情報(知識や技術)が簡単すぎても難しすぎても有利ではない。

また、情報が累積的に蓄積されてゆくほうが、そうでない場合に比べて teaching が有利になりやすい。情報の累積的な蓄積が有利になるのは、他者から得た方法に改良を加えることでさらに適応度を上昇させられるような場合である。そして、情報の累積的な蓄積がなされるかどうかは情報伝達の精度に依存する。 Teaching は情報伝達の精度を高めるので、有利になるというわけだ。

著者らもDiscussionで述べているが、数理モデルは直感的な理解と整合性が高い。だから納得はするのだが、結局これは直感に合うモデルを作りましたってだけじゃないのか、という疑問はどうしても残る。

竹ノ下祐二
竹ノ下祐二
理学療法学科 教授

専門分野:人類学・霊長類学、生物多様性保全学、子ども学

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